昨夜は、開始前に公表された小売売上高が市場予想よりも高く、輸出物価指数も市場予想をよりも高かったことから、インフレが再び加速しているとの判断となり、投資家たちはFRBによる高金利政策がかなり長期化するとの予想が広がり、株式市場全体が売られて1%を超える下げとなりました。セクター別当落率をみても、全セクターで下げてしまいました。
7月の米小売売上高は市場予想を上回る伸びを示しました。個人消費に依然として余力があり、景気拡大を支えていることが示唆されました。7月は13カテゴリーのうち9つで増加し、スポーツ用品店や衣料品店、飲食店などで特に伸びが目立ちました。電子商取引を含む無店舗小売りは1.9%増と、今年に入ってから最大の伸びとなりました。AMZN(アマゾン)が実施したプライムデーのイベントが売上高を押し上げたようです。2日間にわたって行われたこのイベントのうち初日の売上高は、同社として過去最高でした。今回の統計は、力強い労働市場と賃金上昇が、多くの米消費者にさまざまな財やサービスへの支出余力を与えていることを示しているようです。良い経済ニュースなのですが、FOMCの高金利政策を後押しするデータとなるので、株価にはマイナスに働いてしまいました。
全米ホームビルダー協会(NAHB)とウェルズ・ファーゴが発表した8月の住宅市場指数は、市場の予想外に低下してしまいました。低下は今年に入り初めてです。高い水準の住宅ローン金利が購入見込み客を遠ざけているようです。また、8月は住宅ローン金利の上昇と建設作業員の不足に起因する高い建設コスト、建設可能な用地の不足、配電用変圧器の不足が建設業者の景況感を冷え込ませているようです。現況指数と購買見込み客足指数は共に今年初めての低下で、見通し指数は4月以来の水準に下げてしまいました。
FOMCメンバーのミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は、米国のインフレ抑制に前向きな動きが見られているとした上で、物価上昇ペースは政策当局者らが容認できる範囲を超えているとの見解を示しました。カシュカリ総裁はミネアポリスでのイベントで「インフレ率は現在、鈍化しつつある。順調な進展を一定程度遂げてきた」と発言。一方で、インフレ率は「依然として高過ぎる」と述べた。
8月のニューヨーク連銀製造業景気指数は▼19.0%と予想▼1.0%を大きく超えた冷え込みを示しました。この数値の過去を見ると他の連邦銀行が発表する値とは逆の傾向を示すこともあり、ボラティリティが高いので注意が必要です。
HD(ホーム・デポ:ホームセンター ) の株価は、売上高が減少傾向にある中、第2四半期利益が予想を上回り、通期見通しを再確認したことを受けて、株価は△0.66%とでした。
格付け会社フィッチのアナリストが、JPモルガンチェースを含む数十の銀行の一部下げを余儀なくされると警告したことで、市場全体に暗雲をもたらりました。
中華人民共和国の共産党政府は、若者の失業率データの公表を停止して金利を引き下げる動きを示し、同国の景気後退をめぐる不透明性への懸念が高まっています。長引く不動産危機、米国主導の西側諸国との関係悪化、投資と輸出という経済成長の原動力が失速する中、国民の消費意欲の大幅な低迷を受けるなど、一連の課題の下で驚異的な状況にあると想定されています。個人消費、鉱工業生産、官民投資の指標が7月に予想を大幅に下回ったことが8/15にデータで示されました。これをうけて中華人民共和国の2023年GDP成長率の見通しを、JPモルガン銀行は4.8%に、日本のみずほセキュリティーズは5%に引き下げました。中華人民共和国の経済の冷え込みとデフレスパイラルへの可能性が、西側諸国の投資家心理を大幅に悪化させています。
原油先物は$80.98(▼1.85%)に下落、10年債利回りは4.221%(△0.88%)に上昇、ドル円は、日銀の介入が予想される145円/ドルを挟んで上下を繰り返しており、現在は145円台半ばで取引が続いています。大きな変化がないことから、今のところ日銀の介入はなされていないようです。
自分の米ドル建のポートフォリオは▼1.13%でした。3つのETFがそろって50日移動平均を下回ってしまいました。夏枯れの8月とはよく言ったものです。
8/16の経済指標発表は以下の通りです。建築許可件数、原油在庫量は高い重要性となっていますが、FOMCの金利政策の行方を予想するには、鉱工業生産にも注目したいところです。鉱工業生産は、製造業の鉱業部門における生産動向を表しています。同指数は同国における鉱工業の景気拡大・縮小の重要な指標であり、他経済指標と共に経済の転換点を早期に確認するために使用されます。また、FRB(米連邦準備制度理事会)により直接作成される数少ない成長率の指標であるため、投資家は鉱工業生産に注目しています。
時価総額$300億以上の企業の決算発表予定は以下の通りです。中華人民共和国のゲームメーカーのテンセント、ネットワーク通信機器のシスコシステムズに注目が集まりますが、テンセントは公表時間が示されていません。シスコシステムズは引け後の発表です。
2024年1月に台湾(中華民国)の総統選が行われますが、7月25日時点の支持率は以下の通りで、頼清徳(Lai Ching-te)氏は首位でリードしているものの圧倒的に優位な立場ではありません。米国は隣国の中華人民共和国との関係を重要視しながら、選挙の行方を見守っています。
小売売上高が予想以上に好調だったことで昨夜は株価を下げましたが、一方で景気後退(ディフォルト)の可能性を否定して、株式に対してますます強気になるよう促している動きもあります。ジェフリーズは火曜日、「現時点ではソフトランディングの可能性が高いため、収益は以前の予想よりもはるかに回復力があるだろう」とジェフリーズのマイクロ戦略グローバル責任者、デシュ・ペルムネティレケ氏は述べました。さらにS&P500の年末目標を4,050から4,500に引き上げました。
さて、株式の行方はどうなるのでしょうか。毎日の報道を確認しながら、アナリストの意見に振り回されず、自己判断して投資するのが、勝ち続けるための正解だと思います。
それでは今日も一日、明るく元気に笑顔で過ごしましょう。