松江市街地を南に少し外れたところに、カップルの聖地と言われる八重垣神社(やえがきじんじゃ)に参拝いたしました。ご祭神は、『須戔鳴尊』(すさのおのみこと)とその妻である『奇稲田姫』(くしいなだひめ)で、日本神話でも有名な「八岐大蛇」(やまたのおろち)の舞台でもあり、その後にお二人が結婚されたので、縁結びの神社となっています。
高天原(たかまがはら)を追放された、須戔鳴尊(すさのおのみこと)は、出雲の国にやってきました。そこで、一人の娘を囲んで泣いている老翁と老婆を発見。その小さな娘が奇稲田姫(くしいなだひめ)だったのです。老翁と老婆は、「私たちには、8人の娘がいたのですが、八岐大蛇(ヤマタノオロチ)がやってきては、毎年娘たちを一人ずつ食べていったのです。そして今年もまたヤマタノオロチがやってくる時期がきたので、最後の娘の奇稲田姫をも食い殺されてしまうかと思うと涙が止まらない」とのこと。八岐大蛇は、一つの胴体に8つの頭、8つの尾を持ち、目はホオズキのように真っ赤であり、体にはコケやヒノキ、スギが生え、8つの谷と8つの丘にまたがるほど巨大で、その腹は、いつも血でただれている、という怖ろしい姿です。有名なRPGドラゴンクエストにも「やまたのおろち」が出てきますけど、こちらは頭の数は5つしかありませんね。
須戔鳴尊は老翁と老婆に「あなたたちの娘・奇稲田姫をわしにくれるなら、ヤマタノオロチを退治してやろう。お前たちは今からわしの言う通りにするのだ。そうすれば、化け物は必ず退治できる」と言いました。老翁と老婆は「娘の命が助かるなら」と従いました。須戔鳴尊は老翁と老婆に強い酒を造らせ、ヤマタノオロチがやってきた時にたんまりと飲ませました。そして、酔ったヤマタノオロチを切り刻んで退治してしまいました。ヤマタノオロチを無事退治し、この出雲の地が気に入った須戔鳴尊は、ここに奇稲田姫と住むための宮殿を造ることにしました。この宮殿を作る最中、雲が立ち上がった様子を見て、須戔鳴尊は歌を詠みました。「八雲立つ 出雲八重垣 妻籠(ご)みに 八重垣作る その八重垣を」。これは、日本で初めて詠まれた和歌として神話に残されているのです。
その後、須戔鳴尊と奇稲田姫の間には多くの子どもが誕生。そのうちの1人、須戔鳴尊の7世の孫が、因幡の白兎でも有名な大国主命(おおくにぬしのみこと)と言われています。
境内の奥には須戔鳴尊がヤマタノオロチを退治している最中に奇稲田姫が隠れた佐久佐女の森と鏡の池があります。本殿横の神札授与所で水みくじを、鏡の池に浮かべ、その上に硬貨を載せて早く沈むと願いが叶うといういわれているので、やってみました。そのままのあなたでいいそうで、東と南に吉。八重垣神社からみて、東と南に自宅があります。根本では二本の木が、上部では一本の木になっている「夫婦椿」は神秘的ですね。
自分たちは結婚して38年、子供2人に嫁2人を迎え、孫3人に恵まれている老夫婦ですが、あらためて夫婦円満を願って参拝いたしました。