先週末の9月9日は「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」の残高が1兆5000億円を突破したとのニュースが流れました。日本人の投資意欲は上がっているのでしょうか。先月末に日本銀行から公表された「資金循環の日米欧比較」の中身を見て、5年前の統計と比較してみたいと思います。
金融機関の金融資産・負債構成
まずは金融機関の金融資産・負債構成に関してです。日本では、取り扱っている資産も負債も預金取扱機関が2,253兆円あまりと最も多く、全資産の56%が集中していることがわかります。米国は21%、欧州では41%しかありませんので、最新情報においても日本人は預金が好きという傾向は変わっていません。
投資(その他の金融機関)に関しては、日本は1,117兆円と27%ですが、米国は47%、欧州は45%です、日本の投資資産の比率は、欧米の半分程度にとどまっている状況です。
保険・年金基金に関しては、日本は696兆円と17%、米国は32%、欧州は18%となっています。米国が多い一因として、日本のような社会保険制度や公的な健康保険がないためではないかと考えられます。
家計の金融資産構成
家計の金融資産構成を見てみると、やはり日本は現金と預金がまだ半分以上もあります。米国では現金・預金は13.7%しかありませんし、投資信託と株式等を合計すると52.4%となります。個人的な予測ですけど、FRBのパウレル議長の家計やタカ派議員でも家計はこれ以上に投資の比率が高いのではないでしょうか。バイデン大統領をはじめとする政治家も投資の比率が高いでしょう。一方、岸田総理大臣が公開された資産には株式投資が一切ありません。そんな背景も、日本の株式よりも米国の株式が成長率が高い原因なのかもしれません。
2017年8月18日付の日本銀行「資金循環の日米欧比較」のグラフを下に示します。
日本に注目して、5年前と大きく変化しているところは、以下の通りです。
- 家庭の金融資産の総額は、1,809兆円から2,005兆円と11%近く増えました。
- 現金・預金は 51.5% → 54.3%に増えました。総額増なので金額はかなり増。
- 投資信託は 5.4% → 4.5%に減りました。総額増を考慮しても減っています。
- 株式等は 10.0% → 10.2%とわずかに増えました。
- 債務証券は 1.4% → 1.3%に減りましたが、総額増を考慮すると増です。
米国の総額は50%増と日本の11%増よりもかなり大きいです。欧州でも23%近く増えています。そして、株式等と投資信託は米国の比率は増えています。
結論としては、日本の金融資産における投資意欲はまだ少ないと言えそうですね。