雇用者数が予想を大幅に上回ったことから、主要3指数はそろってプラスとなりました。セクター別騰落率をみると、素材(Basic Materials)、工業(Industrials)が△3%を超えました。「リセッション(景気後退)なくインフレ退治ができそうな見込み」という心理が広がり、景気敏感株の上昇が目立ちました。債務上限に関する法案が上院で可決したことも追い風になっていました。地方銀行の株価も上昇して、金融(Financial)も△2.26%と買われました。
5月の非農業部門雇用者数は33.9万人(予想18.0万人、前月修正値29.4万人←25.3万人)と市場予想を大幅に超えた数値が発表され、4月も16%も上方修正されました。5月の平均時給が4月比△0.3%(予想0.4%、4月の3月比0.4%)と賃金上昇率が鈍化したことはインフレ抑止策が効いていると市場が判断したようで、株価にとって追い風となりました。
AMZN(アマゾン)は、プライム会員向けに全米規模の低価格携帯電話を展開すべく交渉中で、ワイヤレスプランを$10/月、場合によっては無料で提供する計画が明らかになり、TMUS(T-Mobile)▼5.56%、VZ(ベライゾン)▼3.19%、T(AT&T)▼3.79%と競合他社の株価が大幅に下がりました。ただし、計画の立ち上げには数か月先で、計画が破棄される可能性もあるようです。NVDA(エヌビディア)とAMD(アドバンストマイクロ)は利益確定売りで反落しました。アナリストが目標株価の引上げを競うなど、市場では依然として「買い」とWall Street Jarnalは述べています。一方で、AIを巡る過熱を懸念して保有株数を利確してかなり縮小したという資産運用会社のCEOの発言をBloombergは述べています。AI関連の株価の将来については専門家によっても割れており、「投資は自己判断と自己責任で」を忘れないようにしましょう。
原油先物は好景気の見通しが広がって△2.65%、10年債利回りは△2.3%、ドル円は円安方向に動いて140円手前で取引が続いています。景気に敏感な中小企業で構成されるRussell2000は△3.56%して、3月9日以来3カ月ぶりの高値となりました。
自分のポートフォリオは△1.22%としっかり伸びました。VYM(高配当株ETF)は景気敏感株が多く低迷していましたが、リセッション懸念の後退により息を吹き返してくれた感じがあります。
週末なので、1週間の株価マップとセクター別騰落率を示します。5月に絶好調だったテクノロジーは△4.06%と堅調ですが、一般消費財(Consumer Cyclical)△5.44%と不動産(Real Estate)が△4.65%がそれ以上の伸びとなっていました。
週明け6/5(月)に予定されている経済指標発表は以下の通りです。景気を占うサービス業購買部協会景気指数、マーケット総合PMI(S&Pグローバル総合購買担当者指数)、ISM非製造業購買担当者景気指数が注目されると思います。
6月に入ってから2日間、米国株は順調な滑り出しとなりました。この勢いが一時的なものでなく、多少の調整が入っても、年末まで継続し、来年にはインフレ退治されて金利が下がるといいなと思いますが、「希望的観測」は投資家がしてはいけないことの一つです。米中関係の緊張、ロシアによるウクライナ侵攻問題、秋の大統領選挙、地政学的リスクなど、状況を把握しておくことは大切でしょう。日本の株式市場も最近は好調なので、長続きするかどうかは疑問視しております。日本株では高配当株のガチ保持で取引なしという投資方針なので、当面はAIの恩恵を受けそうにありません。
台風2号と梅雨前線の影響で記録的な大雨が降り、各地で被害が出ているニュースが目につきます。ブログを読んでいただいている皆様がご無事であられるよう祈念しております。
それでは皆様、明るく元気に笑顔で週末を過ごしましょう。