昨夜の主要3指数は、労働市場が予想以上に逼迫状態していることが明らかになり、債券利回りが高騰したことで、そろって下落しました。Dow30は▼1.29%で年初来が▼0.44%となり、今年の伸びをすべて打ち消してしまいました。セクター別騰落率では、公益事業(Utilities)は反発したものの他はすべてマイナス、最も下落したのは一般消費材(Consumer Cyclical)でした。
アトランタ連銀のボスティック総裁(中立派、投票権なし)は、米金融当局はインフレ率を目標の2%に戻すため、利上げを急ぐつもりはないが、利下げを急ぐつもりもないとした上で、政策金利を高水準で「長期間」据え置くべきだとの考えを示しました。クリーブランド連銀のロレッタ・メスター総裁(タカ派、投票権なし)は講演で、追加利上げが検討されているとの考えを示し、金利が「しばらく」高水準に維持される可能性があると警告した。
イエレン米財務長官は3日、米経済の見通しを極めて楽観視していると述べました。金利については、中期的に一段と正常な水準に戻るとの見方を示しました。このほかAI(人工知能は信じられないほど急速に進歩しているとし、生産性を大きく変える可能性があると述べました。
8月のJOLTS(雇用動態調査)は、求人件数が69万件増の961万件(予想880万件)と約2年ぶりの高水準となり、労働市場の逼迫した状況が示され、FRB(米国連邦準備制度理事会)が次回利上げに踏み切る口実を与える結果となりました。特に求人が急増したのはホワイトカラーで、労働需要の底堅さが示された形でした。
INTC(インテル)はプログラマブルチップユニットを来年1月から独立事業として運営(スピンアウト)し、今後2、3年かけて事業株式の公募増資を行う計画であると発表しました。これを受けて株価は一時2%上昇、終値は△0.65%でした。特定口座でインテル株を保有されている方は、証券会社によってはスピンアウトをきっかけに一般口座に移行されるケースがあります。詳細は利用されている証券会社に問い合わせてください。
モルガン・スタンレーのアナリストが旅行需要の逆風による燃料費の上昇を理由に目標株価を引き下げたため、クルーズ会社株カーニバル・コーポレーション(CCL)、ロイヤル・カリビアン(RCL)、ノルウェージャン(NCLH )の株価は下落しました。
米国下院は、マッカーシー議長が引き続き下院を率いるかどうかを決める歴史的な国民投票を実施するようです。先月末の政府機関閉鎖を回避するための合意仲介に奔走しましたが、一部の共和党議員がこの合意を批判していることに起因しているようです。政府閉鎖は先延ばしされましたが、ウクライナ支援金額をめぐって予算が決定されるまでの道のりは大変厳しそうです。
原油先物はやや上昇した$89.55(△0.82%)、10年債利回りは4.802%(△2.54%)まで高騰して16年ぶりの水準に達しました。ドル円は一旦150円まで円安が進んだ直後に下落して、現在は149円台前半で推移しています。日本銀行が150円で介入したのではないかと観測されていますが、財務省幹部はノーコメントとしています。
自分の米ドル建ポートフォリオは▼1.50%でした。夜中に目覚めた時にバーゲンセールが始まっているものの、少し低めに設定していた指値には届いていませんでした。でも、月初に外貨建MMFの分配金が出ていたので、VOOとQQQを1株ずつ成行注文しました。高金利政策で、外貨建MMFの分配金が魅力的な数字になっているのは嬉しいところです。
今夜の経済指標発表は以下の通りです。重要度が高いものがいくつかあります。
昨夜の下落でDow30は年初来マイナスとなってしまいましたが、インデックス投資で人気があるS&P500は年初来△9.76%、ハイテク系に傾倒しているNASDAQは年初来△31.95%です。私は昨夜の株安は雇用が良いという経済的に良いニュースがきっかけになっているので、必要以上に心配しない方が良いかと思っています。コロナ禍で株安となった時は、米国の混乱している病院や、棺桶不足で袋詰めされている多くのご遺体の映像を見て、背筋が凍る思いをしましたが、今は全く違います。株安をきっかけに、過激なタイトルで不安を煽ってSNSや動画でアクセス数を稼ぐインフルエンサーの言動には十分に注意して下さい。また、不安を感じるようであれば、生活費や今後必要な費用まで投資に回して「余剰金で運用する原則」から逸脱していないかチェックしてみるのも良いでしょう。
それでは今日も一日、明るく元気に笑顔で過ごしましょう。