S&P500 ヒートマップ(高解像度)
- TSLA(Tesla) -8.27%
米国電気自動車(EV)市場における政府補助金の終了や売上・利益の2四半期連続減で、投資家心理が悪化。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は「数四半期の苦難」が続く可能性を示唆し、決算内容も予想を下回ったため、大幅下落となりました。特に収益性の低下と古い製品ラインナップへの懸念が重しとなっています。 - IBM -7.62%
第2四半期決算では全体としては市場予想を上回ったものの、ソフトウェア部門の売上成長が鈍化し、投資家の評価が厳しくなりました。AI・新メインフレームなどはポジティブ要素と見られる一方で、ソフト部門への期待が高く、それが裏切られたことで株価に大きく響きました。

主要3指数とドル円の動き
- S&P500
S&P500は前日比+4.44(+0.07%)の6,363.35で取引を終え、わずかに上昇しました。市場全体では方向感に欠ける動きとなったものの、ハイテク株の一角や一部生活必需品株が下支えしました。終盤にかけては利確売りも入り、上値は限定的でした。 - Dow30(ダウ工業株30種平均)
Dow30は前日比-316.38(-0.70%)の44,693.91と続落しました。ディフェンシブ株が相対的に弱く、資本財や金融など景気敏感セクターが売られました。ボーイングやキャタピラーの下げが指数を押し下げる要因となりました。 - NASDAQ
NASDAQは前日比+37.94(+0.18%)の21,057.96と小幅高で終えました。大型テック株に買いが入り、アップルやマイクロソフトなどが堅調に推移しました。ただし、金利上昇懸念が一部銘柄の重しとなり、上昇幅は限定的でした。 - ドル円(USD/JPY)
ドル円は146.35から146.97まで上昇し、146.93で取引を終えました。米新規失業保険申請件数が予想外に減少し、労働市場の強さが確認されたことで、FRBの早期利下げ観測が後退し、ドル買いが優勢となりました。一方で、米6月新築住宅販売件数や7月製造業PMI速報値は予想を下回り、ドルの上昇幅はやや抑制されました。

セクター別騰落率
- Consumer Cyclical(一般消費材)
前日比-1.29%と全セクターで最も大きく下落しました。中でもTeslaの急落(-8.27%)が指数全体を強く押し下げました。また、ホームセンターのHome Depotやアパレル関連のNikeも下落しており、消費の先行き不安が投資家心理に影響を与えました。 - Basic Materials(素材)
前日比-1.27%と大幅に下落しました。特に建材や化学メーカーに売りが集中し、中国景気の減速懸念や資源価格の調整が悪材料となりました。インフレ鈍化に伴う価格転嫁力の低下も一因と見られています。
その他のセクターは±1%未満の比較的落ち着いた値動きにとどまりました。

ETFトップ10
7月24日のETF市場はまちまちの展開となりました。S&P500連動型のVOOやSPY、IVVはいずれも小幅に上昇し、特に大型グロース株の堅調さを受けてVUG(グロースETF)は+0.42%と上昇が目立ちました。一方で、米国全体に分散投資するVTIは小幅安、国際株ETFであるVEAやIEFAはそれぞれ-0.70%、-0.75%と下落し、海外株の軟調ぶりが影響しました。バリュー株ETFのVTVも下落し、金利上昇局面での調整がみられました。債券ETFのBNDは利回り上昇の影響を受けて小幅に下落しました。全体としてはグロース優位の展開となりました。
経済指標発表 結果
- 新規失業保険申請件数(7月第3週)
季節調整済件数は21.7万件で、前週比▲4千件、3カ月ぶりの低水準に改善。市場予想(22.6万件)も大きく下回り、労働市場の底堅さを再確認。継続申請件数も1.955 百万件と高止まりながら、利下げ観測を抑制し、FRBの利上げスタンス固定を支持、ドル高・債券利上げ・株式調整の動きを強めました。 - サービス業購買担当者景気指数(PMI速報値、7月)
7月のサービスPMI速報値は55.2と、6月(52.9)や市場予想(53.0)を大幅に上回る7カ月ぶりの高水準へ。サービス産業が景気を牽引し、GDP成長ペースを支えています。ただし、価格上昇圧力が強まりインフレ懸念も浮上し、金融政策の緩和余地を狭める結果に。 - 総合PMI速報値(7月)
製造業とサービスを合わせた総合PMI速報は54.6に上昇。これは6月(52.9)から7カ月ぶりの高水準であり、S&Pは第3四半期の年率2.3%成長を示唆。製造業は49.5と弱含みだったものの、サービスの底堅さが経済拡大を支えており、リセッション懸念が後退しました。ただし、インフレ再加速のリスクが政策を制約しています。 - 新築住宅販売件数(6月)
新築住宅販売は62.7万件で市場予想(65.0万件)を下回り、前年比6.6%減。販売は南部・中西部で若干持ち直すも、供給在庫は51.1万戸と10カ月分超で高水準に。住宅市場の冷え込みが継続し、不動産セクターや関連消費に弱材料となっています。ただし一部価格下落が買い場と見る声も。

主な決算発表結果
- Blackstone (BX)
2Q決算で調整後1株利益は1.21ドル(予想1.09ドル)と市場予想を上回り、収益は前年同期比33%増の37.1億ドルと大幅成長を記録しました。特にプライベート・クレジットとプライベート・エクイティが好調で、資産運用残高(AUM)は1.21兆ドルと過去最高。信用・保険部門への資金流入が推進力となっています。さらにIPOやM&A案件も活発化しており、ディールフローの強さが際立っています(業界最大のIPOパイプラインは2021年以来との報告も)。 - Honeywell (HON)
第2四半期は調整後1株利益2.75ドル(予想2.66ドル)、売上は前年同期比8%増の103.5億ドルと市場予想を上回る結果に。航空宇宙部門の売上が10.7%増と牽引役となり、年間ガイダンスも調整後EPSを10.45~10.65ドルへ上方修正。さらに、消防制御やビルオートメーション等に強みを持つBuilding Automation部門も伸長。グループ分割計画も進行中で、戦略的再構成により株主価値創出を狙っています。

主な経済ニュース
- トランプ大統領、FRB視察中にパウエル議長に金利について圧力
Bloomberg - S&P500とNASDAQはAlphabet(Google)やNvidiaなどAI関連企業の好業績を背景に史上最高値を更新。DowはTeslaやIBM、UnitedHealthの軟調により下落。
Reuters - Tesla株は前日比約▲7.6%下落。CEOイーロン・マスクが今後のEV補助金減少などを懸念し「厳しい四半期が続く可能性」を示唆したため。
Reuters - Alphabetは2025年資本支出をさらに100億ドル上積みすると発表。AI・クラウド関連への投資拡大により株価が上昇し、マーケットを牽引。
Reuters - IBMが決算でソフトウェア売上の伸び悩みから株価▲9%超下落。HoneywellやUnitedHealthも低調で、Dowの重しとなる結果に。
Reuters - 米国とEU、日本、東南アジア諸国との貿易協議進展。特にEUとの協定では関税を15%に引き下げへ、世界市場のリスク選好を後押し。
Reuters - 貿易協議への期待はあるものの、実際の関税削減には制約も多く、投資家には楽観と現実のギャップへの警戒も広がる。
Reuters - AI関連企業の決算好調が相次ぐ。Alphabet、SK Hynix、Infosysは予想を上回る利益と一貫したガイダンス強化で、業績回復期待が高まる。
Reuters - ミーム株(Opendoor、Kohl’sなど)が個人投資家主導で急騰。市場に過熱感、短期投機マネーの流入を示すリスク兆候。
Reuters - 株式市場の信用買い残高(margin debt)が過去最高水準に接近。Bloombergは「市場は過熱気味」との見方を示し警鐘。
Bloomberg - VIX(恐怖指数)は15台前半と低水準に。ボラティリティの低下は安定感を示す一方、市場の油断と潜在リスクの未警戒を示唆。
Bloomberg - Bloombergによれば、著名ストラテジストはBig Techが今後も好調を維持すると予測。一方、OpenAIバブルへの警戒も併せて伝えられる。
Bloomberg
地政学的リスク(トランプ関税を含む)
- 米国は日本との自動車関税を25%から15%へ引き下げる大型協議を成立。日米間の貿易緊張が緩和され株式市場に安心感をもたらしましたが、米自動車メーカーからは国内競争の不公平感も指摘されています。
ポリティコ - グローバル市場は日本・欧州・アジアとの貿易協定期待で上昇したものの、15%の関税水準自体が依然として高く、投資家の楽観と政策現実の乖離への警戒感が残ります。
Reuters
Reuters - ロイターは、S&P500等が貿易合意期待で新高値を付ける一方、企業収益が関税によるサプライチェーンの混乱で年間66~78億ドルの損失となったと報じています。特に半導体・自動車が影響。
Reuters - トランプ政権の“救済措置”として開始された「Liberation Day」関税の混乱は投資家に深刻な市場ショックを与え、貿易政策を単なる交渉材料以上に経済リスクとみなす構えが強まっています。
Reuters - 欧州株式市場も中東の地政学リスクと米国の高関税政策によってIPO市場が低調に。企業買収・新規上場意欲が減退し、欧米両市場の投資意欲に冷や水。
Reuters - IMFは、貿易摩擦と地政学的不透明さが市場クラッシュの引き金となり得ると警告。金融機関は十分な資本と流動性を確保するよう求められています。
Reuters - 米連邦準備制度理事会(FRB)は米中関税リスクの高まりを理由に利下げスタンスを慎重化。金融政策が地政学リスクによって制約される構図が浮き彫りになっています。
Reuters - トランプ政権による「相互関税」政策により、中国製品は最大で150%超、EUには最大50%といった高率の関税が導入され、世界経済の分断リスクが強まりつつあります。
ウィキペディア - 投資家の間では、米国の信用残高(margin debt)が過去最高水準に達し、貿易不安による市場のレバレッジリスクが一段と危惧される展開へ。
Reuters
金利・コモディティ・恐怖指数の動き
- Crude Oil(WTI原油先物 9月限)
原油価格は前日比+0.81ドル(+1.24%)の66.06ドルで引けました。中東情勢の緊張継続と米在庫の取り崩し観測が支援材料となり、買いが優勢でした。中国の景気刺激策への期待も需給改善見通しにつながっています。 - CBOE Interest Rate 10 Year T No(米10年債利回り)
米10年債利回りは4.408%と+0.02ポイント上昇しました。新規失業保険申請件数の改善を受け、FRBによる利下げ時期が後ずれするとの見方が台頭し、債券売り(金利上昇)につながりました。 - VIX指数
VIX指数は15.39と前日比+0.02ポイント(+0.13%)と小幅上昇しました。決算発表シーズンに伴う市場の警戒感が残る一方で、株価の底堅さもあり、大きな変動は見られませんでした。依然として低水準を維持しています。 - Gold(金先物 8月限)
金価格は前日比-24.60ドル(-0.72%)の3,373.00ドルで下落しました。米長期金利の上昇により、金利を生まない資産である金の魅力が相対的に低下したことが主な要因です。インフレ鈍化観測も圧迫材料となりました。

自分の米ドル建ポートフォリオ △0.00%
VGTやVOOが上昇し全体を支えた一方で、高配当ETFのVYMやVIG、金ETFのGLDMが下落し、バランスが取れた展開となりました。全体では前日終値と同等にとどまりました。
経済指標発表予定
高い重要性がある指標の発表予定はありませんが、以下の指標が発表されます。

主な決算発表予定
以下の銘柄の決算発表が予定されています。

おわりに
本日の米国株式市場は、S&P500とNASDAQがともに史上最高値を更新する一方、Dow30は主要銘柄の下落により軟調となり、明暗の分かれる展開でした。市場では、AlphabetやAI関連企業の好決算がセンチメントを支え、特に生成AIやクラウドインフラへの期待が改めて意識されました。加えてTeslaの大幅安やIBMの成長鈍化により、企業ごとの格差が顕在化しています。また、米新規失業保険申請件数の改善は労働市場の強さを示しましたが、これによりFRBの利下げは後ずれするとの見方が強まり、長期金利上昇とドル高が進みました。加えて、日米自動車関税引き下げ協定など貿易交渉の進展は一時的に市場を押し上げたものの、関税水準の高さや政治リスクの残存が依然として投資家心理を左右しています。今後は決算シーズンが本格化する中で、企業の業績と金利への反応度が、今後の株価を左右する重要な要素となるでしょう。特定のテーマやセクターに過度に偏った投資には注意が必要であり、分散と柔軟性を持ったポートフォリオ構築が求められます。
投資は自己責任にてお願いします。
それでは今日も一日明るく元気に笑顔で過ごしましょう。
おことわり
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図表のレファレンス
- S&P500ヒートマップ: finviz
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- セクター別騰落率: finviz
- ETFトップ10:FOX Business
- 経済指標結果/予定: investing.com日本語版
- 決算発表結果/予定: investing.com日本語版
- 主要指数の動き : Yahoo!Finance米国版 をカスタマイズ
- 自分の米ドル建ポートフォリオ: Yahoo!Finance米国版 をカスタマイズ