S&P500 ヒートマップ(高解像度)
- TT(Trane Technologies)-8.39%
業績は市場予想に届かず、特に新規受注の鈍化が嫌気されました。今後の住宅・商業冷暖房需要への懸念が強まり売り優勢に。 - QCOM(Qualcomm)-2.52%
半導体セクター内では下落が目立ちました。スマートフォン向けチップの出荷鈍化や中国市況の悪化が圧迫材料となっています。 - PG(Procter & Gamble)-2.38%
決算で生活必需品の販売伸び悩みが確認され、価格転嫁の限界と消費減退懸念が株価の重しとなりました。 - CVX(Chevron)-2.21%
原油価格下落と第2四半期決算の利益鈍化見通しが嫌気されました。中国需要減退懸念もエネルギー株全体に影響。 - NKE(Nike)-2.11%
中国市場での販売不振や在庫調整の長期化懸念が再浮上。今後の収益成長鈍化への懸念が売り圧力を強めました。 - AMT(American Tower)-2.78%
通信インフラ企業としての設備投資減少見通しが重荷に。金利高止まり環境でリート全体が下押しされる流れの一環。

主要3指数とドル円の動き
- S&P500(6,362.90、−0.12%)
S&P500は小幅下落。第2四半期のGDP成長が年率3%と予想超過だったにもかかわらず、金利見通しに慎重な連邦準備制度理事会(FRB)議長の発言が、9月の利下げ期待を後退させました。さらに10年債利回りの上昇も株価の重石に。 - Dow30(44,461.28、−0.38%)
ダウも下落し、171ポイント安。FRBが政策金利を据え置く決定を下し、利下げ時期に慎重な姿勢を示したことが主因。景気指標の強さにもかかわらず、投資家はインフレと金利の不確実性を重視しています。中小型株との足並みの違いも影響しています。 - NASDAQ(21,129.67、+0.15%)
NASDAQは小幅ながらプラスで引け。ハイテクセクターが相対的に堅調に推移し、特にAI関連やテック決算の期待感が支えました。MicrosoftやMetaなど大手テック企業への注目が根強く、弱い金利見通しの中でも株価に下支えの効果が見られました。 - ドル円(USD/JPY)(149.48、+0.73%)
30日のニューヨーク市場でドル円は一時148.51まで下落した後、米経済指標の強さとパウエルFRB議長の慎重発言を受けて149.43まで反発。米7月ADP雇用統計と4-6月期GDP速報値が予想を上回り、利下げ観測が後退。米長期金利の上昇を背景に、ドル買いが優勢となりました。

セクター別騰落率
- Basic Materials(素材)
−2.50%と全セクター中で最大の下落。金属・化学系企業を中心に、コモディティ価格の調整や中国の需要鈍化懸念が重しとなりました。 - Real Estate(不動産)
−1.46%と大きく下落。長期金利の上昇が不動産関連株に逆風となり、REIT(不動産投資信託)を含むセクター全体に売りが広がりました。 - Energy(エネルギー)
−1.36%の下落。原油価格の軟化や需給見通しの悪化が影響し、エクソンモービル(XOM)やシェブロン(CVX)などの大型株が売られました。 - そのほか、Utilities(公益事業)やTechnology(先端技術)などは小幅に上昇しましたが、目立った動きは見られませんでした。全体的にディフェンシブセクターよりも景気敏感株が売られた1日でした。

ETFトップ10
7月30日のETF市場は全体的に小動きでしたが、QQQ(+0.13%)とVUG(+0.23%)などグロース株中心のETFが上昇。一方で、VEA(先進国株)やVTV(バリュー株)は下落し、米国外やバリュー株への逆風が目立ちました。BND(債券ETF)も金利上昇で下押しされました。

経済指標発表 結果
- ADP民間雇用者数(7月)+104千人(予想:+77千人)
7月のADP雇用統計は市場予想を大きく上回る増加を示し、労働市場の底堅さが確認されました。特に中小企業の雇用が回復基調にあることが背景。インフレ鈍化期待が高まる中での強い雇用データは、FRBの利下げに対する慎重姿勢を正当化する材料とされ、長期金利上昇とドル高要因となりました。 - 実質GDP速報値(第2四半期)年率+3.0%(予想:+2.0%)
米経済は4~6月期に年率3.0%の成長と、市場予想を大幅に上回る結果となりました。個人消費と輸出の強さが成長をけん引し、景気減速懸念を後退させる内容です。この結果を受けて、FRBが当面は金利を据え置くとの見方が強まりましたが、利下げ期待はやや後退しました。 - コアPCE価格指数(第2四半期)+2.5%(予想:+2.0%)
FRBが重視するインフレ指標の一つであるコアPCEは、予想を上回る伸びとなりました。インフレ再加速リスクへの懸念が浮上し、利下げのタイミングが遅れる可能性を示唆。株式市場では金利上昇への警戒感が広がり、特に金利に敏感なセクターに売りが出ました。 - FOMC政策金利発表:4.50%(据え置き)
市場の大方の予想通り、FRBは政策金利を4.50%で据え置き。声明では「9月の利下げは決まっていない」と明言され、インフレと雇用のデータ次第という姿勢を強調しました。パウエル議長のタカ派的発言を受けて、利下げ時期の後ずれ観測が強まり、株式と債券市場に調整圧力がかかりました。 - 他にも住宅販売保留指数や原油在庫などが発表されましたが、米株に与えた影響は限定的でした。特にこの日は「強い経済指標」と「FRBのタカ派スタンス」が同時に意識され、株式市場の上値を抑える結果となりました。

主な決算発表結果
- Microsoft(MSFT)
2025会計年度第4四半期において、1株利益は3.65ドル(予想3.37ドルを上回り)、売上高は76.4 Bドル(予想約73.8 Bドル超)と高業績。特にAzureやIntelligent Cloud部門が前年同期比+39%成長し、AI関連への投資継続中。発表後には株価が約8%上昇し、市場評価は非常に強い状況です。 - Meta Platforms(META)
2025年第2四半期決算では、EPSが7.14ドル(予想5.85ドル超)、売上高は47.52 Bドル(予想44.7~44.8 Bドル超)と市場を大きく上回る好内容。第3四半期売上見通しも50.5 Bドルまで示され、広告収入とAI投資の成果が好感され、株価は約10%急騰しました。 - ARM Holdings(ARM)
同社は1株利益が0.35ドル、売上1.05 Bドルで予想通りだったものの、決算後に株価は約5.8%下落。今後は自社チップ開発への戦略転換を発表し、自社クライアントとの競合懸念も指摘されています。AIやデータセンター向けライセンス拡充が鍵です。 - Qualcomm(QCOM)
EPSは2.77ドル(予想2.71ドル超)、売上10.37 Bドル(予想10.3 Bドル超)と予想以上にもかかわらず、株価はアフターマーケットで約4–5%下落。スマホ市場の鈍化、中国向け輸出規制不安が市場に影を落とし、短期的には慎重姿勢が継続しています。 - Lam Research(LRCX)
EPS1.33ドル(予想1.20ドル)、売上5.17 Bドル(予想4.99 Bドル)とコンセンサスを上回る着地。半導体設備需要が堅調で、アナリストには利益拡大の継続期待が漂うものの、決算後の市場反応は比較的限定的でした。 - ADP(Automatic Data Processing)
EPS2.26ドル(予想2.23ドル)、売上5.13 Bドル(予想5.04 Bドル)と堅調。労働関連データの発信元として信頼性が高く、7月のADP雇用統計の好結果とも合致。株価は+0.75%とやや上昇し、雇用の安定感が収益見通しを支えています。 - Altria Group(MO)
EPS1.44ドル(予想1.38ドル)、売上6.1 Bドル(予想5.2 Bドル)と予想を上回りました。たばこ製品需要は安定的だが、政策規制リスクが依然として重し。投資家は高配当利回りを評価しつつも、将来の脱喫煙傾向に注視しています。

主な経済ニュース
- FRBは政策金利を4.25~4.50%で据え置き、9月利下げに関する判断は「まだ決まっていない」とパウエル議長が発言。経済緩和への期待は後退。インフレは依然高止まり、労働市場は堅調とされ、2名の理事が利下げ支持を分裂投票で示しました。市場反応は慎重に推移。[Reuters 2025‑07‑30]
- ウォール・ストリート諸機関が相次ぎS&P500年末目標を上方修正。Wells Fargoなどは、堅調な企業決算と貿易緩和が背景とされます。ただ一部では「バブル懸念」も指摘されており、上昇の持続性に疑問符も。[Reuters 2025‑07‑30]
- AI関連インフラ企業Palo Alto NetworksがCyberArkを約250億ドルで買収予定。この大型買収により、AI認証・アイデンティティセキュリティ市場が注目を浴び、サイバーセキュリティ銘柄全体への関心が高まっています。今後のM&A動向が鍵。[Bloomberg summarized via Axios Pro Rata 2025‑07‑30]
地政学的リスク
- 米政府が半導体輸入調査の結果を数週間内に発表予定。これに基づき中国・台湾等からの輸入品に新関税導入の可能性。AMDやNvidiaなどテック株にコスト圧力が波及する見通し。[Reuters/Bloomberg 2025‑07‑30]
- トランプ政権がインド製品に対し25%の関税発動を発表。アディダス、メルセデスなどへの価格転嫁や収益圧迫リスクが台頭し、国際消費財セクターに対する警戒感が高まっています。[The Guardian via Reuters/Bloomberg 2025‑07‑30]
- 欧州株は米EU合意後伸び悩み。対照的にウォール街は堅調に推移。EU輸出企業の利益圧迫懸念が浮上し、米株に比べ欧州市場の相対的パフォーマンスが鈍化しています。[Reuters 2025‑07‑30]
金利・コモディティ・恐怖指数の動き
- Crude Oil Sep 25(原油先物)
70.30ドル(+1.57%)と上昇。米在庫減少や中国の需要回復期待が支援材料に。中東リスクも価格下支え要因となり、短期的に反発基調。 - CBOE Interest Rate 10Y T No(米10年債利回り)
4.376%(+0.046pt)と上昇。強いGDPやADP雇用指標を受け、利下げ観測が後退。市場は引き締め長期化を織り込みつつある。 - VIX(恐怖指数)
15.48(−3.13%)と低下。株式市場の落ち着きを反映し、投資家のリスク選好姿勢が継続。今後のFOMCイベント通過も安定化に寄与。 - Gold Dec 25(金先物)
3,327.90ドル(−1.58%)と下落。米利回りとドル上昇が金価格の逆風に。インフレ再加速や地政学リスクの材料不足で調整色が強まる。

自分の米ドル建ポートフォリオ -0.19%(前日比)
先端技術ETFのVGTが+0.22%と上昇した一方、VOO、VYM、VIGは小幅安で推移し、GLDM(金ETF)は−1.70%と大きく下落。全体ではやや軟調な一日となりました。

経済指標発表予定
週次の失業保険関連のほか、コアPCE物価指数や個人消費支出価格指数などが予定されています。

主な決算発表予定
アップル、アマゾンなどの巨大企業の決算発表が予定されています。

おわりに
- 本日の米国株式市場は、S&P500とDow30が下落、NASDAQのみが小幅高となり、方向感に乏しい展開となりました。第2四半期GDPやADP雇用統計など、経済指標は総じて強く、米経済の底堅さを示す内容でしたが、その分、FRBによる早期利下げへの期待は後退しました。FOMC声明では政策金利の据え置きが決定された一方、9月の利下げについては「まだ決まっていない」とのパウエル議長の発言があり、投資家は金利見通しの不透明感に揺れています。
- 企業決算ではMicrosoftとMetaが市場予想を大きく上回る好決算を発表し、特にAIとクラウド分野の成長期待が改めて確認されました。一方、関税を巡る地政学的リスクも再浮上しており、トランプ政権下でのインド製品や半導体への追加関税が市場心理に影を落とし始めています。
- こうした中で、投資家にとっては「金利・インフレ・地政学リスク」の三点を意識した資産配分が求められます。テクノロジーなど成長分野は引き続き強さを見せていますが、バリュー株やディフェンシブ銘柄の組み合わせも重要性を増しています。短期的なノイズに惑わされず、企業の本質的価値と長期的な潮流を見極める姿勢が問われる局面です。
投資は自己責任にてお願いします。
今日で7月も最終日です。8月は米国株にとって季節的に調整しやすい月となりますが、明るく元気に笑顔で過ごしましょう。
おことわり
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図表のレファレンス
- S&P500ヒートマップ: finviz
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- セクター別騰落率: finviz
- ETFトップ10:FOX Business
- 経済指標結果/予定: investing.com日本語版
- 決算発表結果/予定: investing.com日本語版
- 主要指数の動き : Yahoo!Finance米国版 をカスタマイズ
- 自分の米ドル建ポートフォリオ: Yahoo!Finance米国版 をカスタマイズ